私たちのプランのページには、お見積りを「採寸に近いもの」と書いた一行があります。ここでは、その一行をほどいて説明するよりも、実際に何を、どこで、どんなふうに測っているのかを、ひとつずつ並べてみます。並べてみると、この言葉がどこから来ているのかは、たぶん自然に伝わると思います。
お見積りが「採寸」に近い、とはどういうことか
THE SHORT ANSWER
先にお答えします。お見積りの数字は、会ってお話を伺い、そこで測ったものから出てくる、ということです。測るのは体の寸法ではありません。誰が来て、誰が泊まり、どんな時間を過ごしたいか。ご家族の一日のほうです。
ですから、お見積りの最初の仕事は、計算ではなく、聞くことです。数字が一組ずつ変わる理由と、決まっていく順番は結婚式の見積りは、なぜ一組ずつ変わるのかに書きました。この記事では、その手前の「測る」ところだけを見ていきます。一日を一組ずつつくる、という考え方の全体は結婚式を「誂える」とは、どういうことかから読めます。
「採寸」という言葉は、もともと何を測ることか
THE WORD
採寸は、文字どおり「寸法を採る」ことです。寸は、尺の十分の一にあたる、むかしの長さの単位でした。その尺にも、じつは一種類ではない物差しがあります。
| 単位 | 長さ | もとになる計算 |
|---|---|---|
| 曲尺(かねじゃく)の一尺 | 約30.30cm | 33分の10メートル(明治の度量衡法で定められた長さ) |
| 曲尺の一寸 | 約3.03cm | 一尺の十分の一 |
| 鯨尺(くじらじゃく)の一尺 | 約37.88cm | 曲尺の一尺二寸五分=1.25倍 |
大工仕事や建物には曲尺が、布や着物には、ひとまわり長い鯨尺が使われてきました。同じ「一尺」でも、測るものが違えば、物差しが違う。物差しは先にあるのではなく、測るものに合わせて選ばれてきた、ということです。
結婚式の一日にも、同じことが言えます。人は人数で、時間は時刻で、道のりは分で測ります。そして、いくつかのものは、どんな物差しを当てても数字になりません。
結婚式のお見積りでは、何を測るのか
WHAT WE MEASURE
ジェリッシュ・ウェディングのお見積りで測っているものを、物差しごとに並べると、こうなります。右の列は、その物差しを当てるときの手がかりになる、決まっている事実です。
| 測るもの | 物差し | 手がかりになる事実 |
|---|---|---|
| 誰が来るか | 名前と人数 | 家族と本当に近い方だけの、10〜15名 |
| 誰が泊まるか | 人数 | ワクテラスなら宿泊10名、別棟でさらに10名 |
| 一緒に過ごす時間 | 時刻 | ワクテラスならチェックイン11時、チェックアウトは翌日の11時 |
| 会場までの道のり | 分・時間 | 福井駅前から車で約50分 |
| 季節と光 | 日の入りの時刻 | 日本海に沈む夕日の時刻は、季節で大きく動く |
| 一日の過ごし方 | お話 | どんな時間を過ごしてほしいか |
| 残したいもの | お話 | フォトツアーと会食のあいだの写真が含まれている |
上の五つは、数字で答えられます。下の二つは、数字では答えられません。そして、上の数字に意味を与えているのは、下のお話のほうです。十二名という人数は同じでも、その十二名がどんなふうに一日を過ごしたいかで、時間の並べ方も、泊まる人の数も変わってきます。季節ごとの日の入りの時刻は、日本海に夕日が沈む時間帯は、季節でどう変わるかで表にしています。
数字で測れないものは、どうやって測るのか
BY LISTENING
お話で測るものには、目盛りがありません。だから、聞くしかありません。誰を招きたいか。その人と、どんな時間を過ごしたいか。食卓では誰の隣に誰がいてほしいか。夜はどのくらい語らっていたいか。翌朝は、ゆっくりしていたいか。
こうした問いには、正しい答えがありません。あるのは、そのご家族の答えだけです。そして、まだ言葉になっていなくてもかまいません。話しているうちに、たとえば「祖母に海を見せたい」というひと言が出てきたら、それはもう、立派なひとつの寸法です。目盛りのない物差しは、話しながら、一緒につくっていくものなのだと思います。
もうひとつ、お話で測るときに気をつけたいのは、誰の声を聞くかです。おふたりの声だけでなく、ご両親や、遠くから来るご家族の事情も、一日の寸法のうちに入ります。準備のなかで、誰がいつ何を決めるかで食い違いが起きやすいことは結婚式の準備で、家族と揉めやすいポイントに書きました。
お見積りのために測るのは、いつ・どこでか
WHERE WE MEET
最初に測るのは、オンラインでの初回のご相談です。ご自宅から、ビデオ通話で。どなたをお招きしたいか、どんな時間を過ごしたいかを伺います。ここで伺ったお話が、一日の設計図のもとになり、そのお話をもとに、プランとお見積りをご提案します。
話が細かくなってきたら、横浜で、顔を合わせて測ることもできます。対面は選べるもので、はじめから終わりまで画面越しのまま進めていただいてもかまいません。画面越しに決まりやすいことと、決めにくいことは結婚式の打ち合わせは、オンラインで何を決められるかに、対面の打ち合わせの考え方は結婚式の対面の打ち合わせは、何回・どこで行うものかに書いています。
測る場所は、福井ではありません。ご自宅の画面の前か、横浜です。会場は遠くにあっても、測る相手は、いまそこにいるご家族だからです。
測ったあと、お見積りはどう整えていくのか
FITTING
一度測って、それで終わりではありません。ご提案したお見積りは、おふたりが納得できる形になるまで、一緒に手を入れていきます。お話を重ねるうちに、招きたい人がひとり増えることもあれば、泊まる人の数が変わることもあります。そのときは、もう一度測ります。
古い家の柱に、子どもの背丈を刻んだ横線が残っていることがあります。線は一本ではなく、何本も、少しずつ高くなっていきます。測り直すことは、最初の線がまちがっていたということではありません。そのあいだに、測るものが育ったということです。結婚式の準備も、たぶんそれと同じです。
そして、測ったものは、お見積りの数字になるだけではありません。この寸法をもとに、私たちはシェフ、ヘアメイク、フローリスト、写真家を、その一日のために編成していきます。どんな手が集まるのかはシェフ・ヘアメイク・フローリスト・写真家が、一日のために集まるということに書きました。
お見積りの前に、用意しておくことはあるか
BEFORE WE MEET
測られる側が、先に自分の寸法を測っておく必要はありません。人数が決まっていなくても、日取りが決まっていなくても、ご相談はできます。ひとつだけ、考えておいていただけるとうれしいのは、誰と、どんな時間を過ごしたいか、ということです。それが、ほかのすべての寸法の起点になります。最初に決めることと、あとでよいことの前後関係は結婚式の準備で、最初に決めるべきことは何かにまとめています。
ほかの結婚式の写真や、いいなと思った場面があれば、それも手がかりになります。ただ、その場面は、その日の空と、その家族のなかで生まれたものです。同じ日付と顔ぶれが二度とそろわないことは同じ結婚式がふたつとない、ということの意味で数えてみました。写すためではなく、ご自分たちの寸法を見つけるために、持ってきていただければと思います。
お見積りと採寸について、もう少し詳しく
A CLOSER LOOK
含まれるものの一覧と費用の目安はプランと料金のページに、はじめのご相談から当日までの道のりはご相談から当日までの流れに、会場の様子は会場のページに、よく伺う問いと答えはよくあるご質問にあります。
結婚式のお見積りは、相談の前にもらえますか?
内訳のお見積りは、お話を伺ってからお作りしています。誰をお招きしたいか、どんな時間を過ごしたいかを初回のご相談で伺い、そのお話をもとにプランとお見積りをご提案します。初回のご相談はオンラインで、無料です。
人数や日取りが決まっていなくても、相談できますか?
はい、ご相談いただけます。思い描いている一日が、まだぼんやりしていてもかまいません。どんなご家族と、どんな時間を過ごしたいかを伺いながら、人数や時期を一緒に考えていきます。
お見積りの総額は、どのくらいになりますか?
総額の目安は150万円から200万円です。この目安には、挙式、お料理、ご宿泊、衣装、ヘアメイク、装花、写真、プロデュース料がすべて入っています。そのなかの内訳を、お話を伺ってから一組ずつお作りします。
柱に刻まれた、何本もの線
採寸は、寸法を採ること。布には布の物差しがあったように、結婚式の一日にも、人数や時刻で測れるものと、お話でしか測れないものがあります。お見積りの数字は、そのふたつを測ったあとから出てくるものでした。
柱に刻まれた線は、数字が書かれていなくても、その家の誰かが育っていった時間をちゃんと残しています。一日の寸法も、たぶんそういうものです。物差しは、こちらで用意しておきます。どうぞ、ご家族のお話を持ってきてください。

