結婚式の準備で、家族と揉めやすいポイント。中身より「誰が・いつ決めるか」で起きる食い違い

雨上がりの苔庭に続く飛び石

結婚式の準備で家族と揉める、と聞くと、意見のぶつかる相手がいるように思えます。けれど実際に起きているのは、もっと静かなことかもしれません。誰かが決めたつもりでいて、誰かは聞いていない。同じ「結婚式」という言葉で、別々の一日を思い浮かべている。ここでは、家族との食い違いが準備のどこで起きやすいのかを、決めごとの中身ではなく、誰が・いつ・何を見て決めるかという順番のほうから考えてみます。

目次

結婚式の準備で、家族と揉めやすいポイントはどこか

THE SHORT ANSWER

先にお答えします。揉めやすいのは、決めごとの中身よりも、三つの食い違いです。誰が決めるのかが決まっていないこと。知らせる順番が前後すること。そして、頭に浮かべている結婚式が家族のあいだで違っていること。日取りや衣装を巡って揉めているように見えて、根のほうをたどると、この三つのどれかに行き着くように思います。

この記事では、費用の話をしません。見積りの数字がどんな順番で決まっていくかは結婚式の見積りは、なぜ一組ずつ変わるのかにあります。また、親世代の受けとめ方そのものは家族だけの結婚式で、あとから困ることはあるかに、招かなかった方への伝え方は結婚式に「呼ばなかった」人への伝え方に書きました。ここで扱うのは、準備の工程のなかで起きる食い違いです。

家族の人数が増えると、意見の組み合わせはどれだけ増えるか

THE ARITHMETIC

少し数えてみます。意見が食い違いうるのは、二人の組み合わせごとです。関わる人が増えると、その組み合わせは人数より速く増えます。

準備に関わる人人数意見が食い違いうる二人の組み合わせ
新郎新婦だけ2名1通り
片方のご両親まで4名6通り
両家のご両親まで6名15通り
兄弟姉妹を一人ずつ8名28通り
祖父母まで10名45通り
招く全員15名105通り

人数から一を引いて人数をかけ、二で割っただけの計算です(同じ数え方を結婚式の会食中の写真は、何を撮っておくべきかでもしています)。二人なら一通りだった組み合わせが、両家のご両親まで入ると十五通り。揉めごとが増えたように感じるのは、誰かの意見が強くなったからではなく、食い違いが起きうる場所のほうが、人数の二乗の勢いで増えているからです。

だからといって、誰にも聞かずに決めるのがよいわけではありません。十名から十五名の結婚式では、招く人がそのまま、準備について何かを思う人でもあります。全員で決めるのでも、誰にも聞かないのでもなく、決めごとごとに「決める人」と「先に聞く人」を分けておく。組み合わせの数を減らすのではなく、組み合わせごとの役を決めておく考え方です。

揉めやすいポイントの一つめ:誰が決めるのかが、決まっていない

WHO DECIDES

結婚式は新郎新婦のものです。同時に、その一日はご家族のものでもあります。私たちは、決まった式に家族を合わせるのではなく、家族に一日を合わせる、と考えていますから、家族の事情は決めごとの前提です。食い違いが起きるのは、「前提を持っている人」と「決める人」が混ざるときです。

たとえば日取り。ご家族が二日あけられる日はどこか、という前提はご家族が持っています。けれど、その中のどの日にするかを決めるのは新郎新婦です。前提を聞かずに決めると「聞いていない」になり、決めることまで家族に渡すと「どうして私たちが」になる。決めごとを並べて、決める人と、先に聞いておく人を分けてみます。

決めごと決めるのは決める前に聞いておくのは
誰と過ごすか新郎新婦なし(ここだけは二人で)
時期・日取り新郎新婦ご家族が二日あけられる予定
会場・土地新郎新婦遠方への移動と宿泊が難しい方がいないか
お料理新郎新婦と私たち食べられないもの、食べにくいもの
衣装・ヘアメイク本人なし
宿泊の部屋割り新郎新婦誰と同じ棟に泊まりたいか、泊まりにくい方はいないか
一日の並び新郎新婦と私たち長く立っていられない方、早く休みたい方

真ん中の列は、ほとんど新郎新婦です。右の列に家族が出てきます。決めることと聞くことを分けると、家族は「反対する人」ではなく「前提を教えてくれる人」になります。教える側は、賛成も反対も言わずに済みます。決めごとどうしの前後関係は結婚式の準備で、最初に決めるべきことは何かに書きました。宿泊の人数で言えば、ワクテラスは十名で、別棟に十名が加わります。部屋割りは、人数が見えてから決められることのひとつです。

揉めやすいポイントの二つめ:家族に知らせる順番が、前後する

WHEN THEY HEAR

「聞いていない」は、内容への反対ではなく、順番への反応です。決まったあとに知らされた人には意見を言う場所がもうないので、言えることが「反対」という形しか残っていない。家族との揉めごとが内容の話に見えるのは、このためだと思います。

家族に知らせる、三つの順番

  • 決める前に、前提を持っている人に聞く——日程なら予定を、移動なら体調を。「教えてほしい」として
  • 決めたら、本人の口から——相手の家族から回って届く前に。両家に伝える日を、できるだけ揃える
  • 細部より、枠を先に——人数・泊まること・土地。衣装や花の話は、枠が共有されてから

この三つは、招かなかった方への伝え方に書いた「式の前に・自分の口から・形式を先に」と同じ骨格です。相手が外の人でも家の中の人でも、こじれるのは言葉選びより順番だからです。

とくに三つめは見落とされやすいところです。「福井で、泊まりで、十二名で」という枠が共有される前に衣装の色や花の話が届くと、家族は枠を知らないまま細部に意見を持つことになります。細部は、枠が見えてからのほうが噛み合います。

揉めやすいポイントの三つめ:思い浮かべている結婚式が、家族のあいだで違う

DIFFERENT PICTURES

同じ「結婚式」という言葉を使っていても、新郎新婦が思い浮かべているのは、海のそばの会場をまるごと貸し切って家族と泊まる一日かもしれません。ご両親が思い浮かべているのは、ご自身が出席してきた式かもしれません。別々の一日について話しているので、どちらの意見も相手の一日には当てはまらない。話せば話すほど噛み合わない、という形の食い違いです。

手当ては、言葉を重ねることではなく、同じものを見ることだと思います。一日の並びを一枚にして見せる。たとえばワクテラスなら、チェックインは午前十一時、チェックアウトは翌日の午前十一時。その日、会場には自分たちの家族しかいないこと。式のあとに北陸の食材の食卓があり、夕方に日本海へ陽が沈み、そのまま泊まって、翌朝の朝食までが一日であること。私たちがご相談から当日までの流れに書いているのは、そのための一枚です。

同じ一枚を見たあとの意見は、同じ一日についての意見になります。賛成でも反対でも、そこからは話が進みます。数字で説き伏せるより一日の並びを先に見せるという考え方は家族だけの結婚式で、あとから困ることはあるかにも書きました。会場の写真は会場のページにあります。

両家のあいだで、重さが違うときはどうするか

TWO FAMILIES

片方の家族が多い。片方が遠くに住んでいる。片方とは当日がほとんど初対面になる。両家のあいだの食い違いは、意見の違いというより、こうした重さの違いから来ます。

決める人は変わりません。新郎新婦です。変えるのは、聞く順番の揃え方のほうです。片方の家族にだけ先に枠を話すと、もう片方には「あちらが決めた」として届きます。伝える日を揃え、聞くことの中身を揃えると、重さの差は揉めごとにまでは育ちにくい。人数の差そのものは、十名から十五名の幅のなかに、そのまま置いておけます。

当日が両家の初対面になるなら、その日の組み方は両家の顔合わせを兼ねた結婚式、という考え方に。遠方のご家族の移動と滞在は高齢の家族と、遠方での結婚式と東京から福井へ、家族での移動という段取りに書いています。

家族から聞いたことは、打ち合わせのどこに置かれるか

WHERE IT GOES

家族に聞いて回ったことは、新郎新婦のなかに溜まっていきます。それを置く場所が、お打ち合わせです。ジェリッシュ・ウェディングの初回のご相談は、どなたをお招きしたいか、どんな時間を過ごしたいか、というところから始まります。お祖父さまは長く立てない、お母さまは早く休みたい、姪は海を見たことがない。その一つずつが、一日の並びの材料です。

家族の声は、新郎新婦が抱えておくものではなく、打ち合わせへ運んで一日の形に変えるものです。伺ったあとの段取りは、私たちに委ねていただけます。形にする役が別にいると分かっていると、聞くこと自体がずいぶん楽になるのではないかと思います。お打ち合わせの全体は結婚式当日までの、打ち合わせという時間に。

準備のあいだに意見を聞いた人たちは、当日、客席に座っています。式が終わって写真が届いたら、分ける先もまた、その人たちです(結婚式の後、写真が届くまでの流れ)。準備で揉めたことの多くは、一日が終わるころには、その日の一部になっています。

家族との食い違いについて、もう少し詳しく

A CLOSER LOOK

総額の目安とそこに含まれるものはプランと料金のページに、人数やご宿泊のことはよくあるご質問にあります。家族に一日を合わせる、という考え方はコンセプトのページと結婚式に招く家族と、どう過ごす一日にするかに。

結婚式の準備で、家族と揉めやすいのはどんなときですか?

決めごとの中身より、三つの食い違いが原因になりやすいです。誰が決めるのかが決まっていないこと、家族に知らせる順番が前後すること、思い浮かべている結婚式が家族のあいだで違っていることです。

結婚式の決めごとに、親はどこまで関わるものですか?

決めるのは新郎新婦で、ご家族は「決める前に聞いておく人」と分けて考えるのがよいと思います。日取りならご家族の予定、会場なら移動や宿泊が難しい方の有無、お料理なら食べられないもの、というように前提を教えてもらう役です。

両親が結婚式のイメージに反対しているときは、どうすればよいですか?

言葉で説得するより、一日の並びを一枚にして見てもらうことをおすすめします。会場を貸し切ること、たとえばワクテラスならチェックイン午前11時から翌朝11時までであること、食卓と夕日と宿泊が一日のうちにあることが見えると、意見は同じ一日についての意見になります。

揉めごとは、同じ一日へ向かっている印

誰が決めるか。いつ知らせるか。何を見て話すか。家族との食い違いは、この三つの順番のどこかで起きていて、内容のほうは、順番が整えば思ったより早く落ち着きます。意見を持つ組み合わせが十五通りあるというのは、裏返せば、その一日を自分のことのように思っている人がそれだけいる、ということでもあります。

雨上がりの庭の飛び石を、一歩ずつ渡るような時間だと思います。全部を一度に跳ばなくていい。誰に何を聞くか、まだ整理がついていなくても、そこから一緒に並べていけます。

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