結婚式は、決まったプランに家族を合わせるものか。家族の事情から一日を組み立てるという考え方

客席の後ろから見た、椅子の並ぶ室内と窓

結婚式の相談をはじめると、最初に目にするのは、プランの一覧かもしれません。人数の幅、時間の長さ、お料理の形。よく考えられた枠が並んでいて、そのなかから選べば、話は早く進みます。ただ、その枠を眺めているうちに、ふと思うことがあるかもしれません。うちの家族は、このどれかに収まるだろうか、と。ここでは、決まったプランに家族を合わせるのではなく、家族の事情のほうから一日を組み立てる、という考え方を、順番の話として書いてみます。

目次

結婚式のプランに、家族を合わせないとはどういうことか

THE SHORT ANSWER

先にお答えします。プランを使わない、ということではありません。決める順番を入れ替える、ということです。プランから始めると、枠が先にあって、家族はそこに入っていきます。家族から始めると、家族の事情が先にあって、枠はあとからその形に沿って決まっていきます。中身が同じになることもあります。違うのは、どちらを動かして、どちらを動かさないか、です。

あらかじめ用意されたプランは、それはそれで、迷わずに済むひとつの形です。ここで書くのは、その良し悪しではなく、ジェリッシュ・ウェディングがどちらの順番で一日をつくっているか、ということです。「誂える」という言葉そのものについては結婚式を「誂える」とは、どういうことかに書きました。決めごとどうしの前後関係は結婚式の準備で、最初に決めるべきことは何かに、家族のあいだの食い違いは結婚式の準備で、家族と揉めやすいポイントにあります。

結婚式のプランは、何を先に決めているのか

WHAT A PLAN FIXES

プランというのは、いくつかの決めごとを、あらかじめ決めておいた束のことです。何名くらいで、何時間くらいで、どんな形の食事で、泊まるのか泊まらないのか。束になっているから、比べやすく、選びやすい。その便利さは、決める順番が「枠が先」であることから生まれています。

同じ決めごとを、順番を入れ替えて並べてみます。

決めごと枠から始めるとき家族から始めるとき
人数枠の人数の幅に、招く人を収める招きたい人を数えて、その人数で考える
一日の長さ用意された時間のなかに、式と食事を置く誰が何時に着いて、いつ休みたいかから長さを決める
お料理用意された献立から選ぶ食べられないもの、食べにくいものを聞いてから組む
泊まるかどうか枠に含まれるかどうかで決まる遠くから来る人、早く休みたい人がいるかで決まる
部屋割り用意された部屋数に合わせる誰と誰が同じ棟にいたいかで考える
写真撮る場面の一覧から選ぶ誰と誰を一緒に残したいかから考える

左の列が悪いわけではありません。左の列は、前もって全体が見えるという良さがあります。右の列は、話を聞くまで全体が見えません。そのかわり、全体ができあがったときに、家族のほうを削ったり詰めたりした跡が残りにくい。どちらを取るかは、何を動かしたくないかで決まるのだと思います。

「標準的な家族」は、いまどれくらいいるのか

THE CENSUS

枠を先に決めるには、どこかで「よくある家族」を思い浮かべる必要があります。では、その「よくある家族」は、どれくらいいるのでしょう。国勢調査で、暮らしの単位である一般世帯の形を見てみます。

世帯の形2005年2020年
ひとりで暮らす世帯29.5%38.1%
夫婦と子どもの世帯29.8%25.1%
夫婦だけの世帯19.6%20.1%
ひとり親と子どもの世帯8.3%9.0%
そのほか(三世代など)12.8%7.7%

出典は総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」です。2005年の値は、2010年以降の分類に組み替えたものが載っています。

2005年には、夫婦と子どもの世帯がいちばん多い形でした。2020年には、いちばん多いのはひとりで暮らす世帯で、それでも四割に届きません。どの形も、過半数ではない。つまり、「よくある家族」を一つ思い浮かべて枠をつくると、その枠にぴったり収まる家族は、どの形を選んでも少数のほうになります。家族に一日を合わせる、という考え方は、気持ちの話である前に、この数字の話でもあると思います。

十五名の結婚式には、いくつの暮らしが集まるのか

THE ARITHMETIC

同じ調査には、一般世帯の一世帯あたりの人数も載っています。2000年は2.67人、2005年は2.55人、2010年は2.42人、2015年は2.33人、2020年は2.21人。二十年のあいだ、一度も増えずに小さくなってきました。

この平均で、招く人数を割ってみます。招く家族が全国の平均どおりとは限らないので、あくまで目安の計算です。

招く人数2000年の平均(2.67人)で割ると2020年の平均(2.21人)で割ると
10名約3.7世帯約4.5世帯
12名約4.5世帯約5.4世帯
15名約5.6世帯約6.8世帯

十五名の結婚式には、おおよそ七つの暮らしが集まる、という見当になります。同じ人数でも、二十年前より一つか二つ、暮らしの数が多い。暮らしが一つ増えるたびに、起きる時刻も、ふだん食べているものも、家を空けられる日数も、一つずつ増えます。

「家族だけの結婚式」と言うと、一つの家族が集まるように聞こえます。けれど実際に集まるのは、それぞれ別の台所と別の時計を持った、いくつもの暮らしです。プランが想定しているのが一つの家族の形だとすれば、そこに七つの暮らしを収めるには、どこかで誰かが少しずつ合わせることになる。家族から始めるというのは、その「少しずつ」を、はじめから設計に入れておくことだと思います。

家族に一日を合わせるとき、最初に何を聞くのか

WHERE IT BEGINS

ジェリッシュ・ウェディングの最初のご相談は、プランの説明からではなく、どなたをお招きしたいか、どんな時間を過ごしたいか、というお話から始まります。枠を見せる前に、集まる人のことを伺う。順番を入れ替えるというのは、具体的にはこのことです。

伺ったことは、そのまま一日の材料になります。たとえば、お祖母さまが朝は早く、夜は早く休みたい。遠くに住む兄の家族は、前の晩には着けない。甥はまだ小さくて、長い食事のあいだ座っていられない。枠を先に置くと、こうしたことは枠の外側の話になります。家族から始めると、これが外側ではなく、前提になります。

集まる人の顔ぶれから一日をどう過ごすかは結婚式に招く家族と、どう過ごす一日にするかに、家族だけの結婚式で気にかかりやすいことは家族だけの結婚式で、あとから困ることはあるかに書いています。

プランがないと、費用や決めることが見えにくくならないか

THE FRAME THAT STAYS

決まった型がないと聞くと、どこまで広がるのか分からない、という心配が浮かぶと思います。けれど、家族に合わせて動かすのは中身のほうで、外側の枠はあります。総額の目安は、150万円から200万円。挙式、お料理、ご宿泊、衣装、ヘアメイク、装花、写真、プロデュース料まで、その一日のすべてを含みます。人数は、ご家族と本当に近い人だけの、10名から15名。

動かさない外枠があって、そのなかを家族の形に沿って組む。内訳は一組ごとにお見積りします。数字がどんな順番で決まっていくかは結婚式の見積りは、なぜ一組ずつ変わるのかに書きました。

決めることが増えるのでは、という心配もあるかもしれません。家族から始めて増えるのは、伺うことのほうです。伺ったことを一日の並びへ組み替えていく役は、私たちが引き受けます。そこは委ねてください。新郎新婦が持っておくのは、誰に何を聞いたか、そこまでで構いません。当日の進行の委ね方は遠方の結婚式で、当日の進行はどう委ねるかにあります。

家族に合わせた一日は、会場と宿泊のどこで形になるのか

WHERE IT TAKES SHAPE

家族の事情に合わせて一日を動かすには、動かせる余白が要ります。その日、会場はまるごと一家族だけのものになります。たとえばワクテラスなら、チェックインは午前十一時、チェックアウトは翌日の午前十一時。次の組に席を譲る時刻がないので、早く休みたい人が先に部屋へ戻っても、遅れて着いた人を待っても、一日の並びが崩れにくい。ご宿泊は十名で、別棟に十名が加わります。誰と誰が同じ棟で夜を過ごすかも、家族の顔ぶれから決められます。

シェフ、ヘアメイク、フローリスト、写真家も、その一日のために編成されます。決まった型に人を当てはめるのではなく、伺った家族の事情を、それぞれの手に渡していく。会場の様子は会場のページに、最初のお話から当日までの順序はご相談から当日までの流れで見ていただけます。

決まったプランに家族を合わせない結婚式について、もう少し詳しく

A CLOSER LOOK

総額の目安と含まれるものはプランと料金のページに、人数やご宿泊についての問いと答えはよくあるご質問にあります。家族に一日を合わせる、という考え方の全体はコンセプトのページに。

結婚式のプランに家族を合わせない、とはどういう意味ですか?

決める順番を入れ替える、という意味です。用意された枠に家族が入るのではなく、招く人の事情を先に伺い、人数や一日の長さ、お料理、泊まり方をそこから決めていきます。プランを使うこと自体を否定する考え方ではありません。

決まったプランがないと、費用はいくらになるか分かりにくくありませんか?

総額の目安は150万円から200万円で、挙式・お料理・ご宿泊・衣装・ヘアメイク・装花・写真・プロデュース料まで含みます。家族に合わせて動かすのはこの枠のなかの中身で、内訳は一組ごとにお見積りします。

家族の事情に合わせると、新郎新婦が決めることが増えませんか?

増えるのは、家族に伺うことのほうです。伺った事情を一日の並びに変えていく段取りは、ジェリッシュ・ウェディングに委ねていただけます。お打ち合わせは、オンラインと横浜での対面で進めます。

椅子は、座る人に合わせて置く

プランに家族を合わせるか、家族に一日を合わせるか。違いは中身より順番にあって、順番の違いは、できあがった一日のどこを誰が削ったかに表れます。ひとりで暮らす人も、夫婦だけの人も、子どもを連れてくる人もいる。十五名の結婚式には、七つほどの暮らしが、それぞれの時計を持ってやって来ます。

椅子をまっすぐの列に並べてから人を座らせるのではなく、座る人を見てから、窓の見える場所に一つずつ置いていく。そういう一日のつくり方です。まだ誰を招くか決まっていなくても、その顔ぶれを思い浮かべるところから、一緒に始められます。

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