結婚式の会食中の写真は、何を撮っておくべきか。10〜15名の食卓で考える

食事の途中の長いテーブルと、窓の外の海

会食の写真、というと、まず料理の写真を思い浮かべる方が多いように思います。たしかに料理も写ります。けれど、あとから何度も見ることになるのは、別の写真かもしれません。ここでは、結婚式の会食のあいだに何が撮れて、何が撮りにくいのかを、少し数字も使いながら見ていきます。撮るもののリストを作る話ではありません。

目次

結婚式の会食中の写真は、何を撮っておくべきか

WHAT TO KEEP

先に結論だけ書いておきます。会食の写真は、「何を」よりも「誰と誰が」で考えるほうが決めやすいと思います。

会食のあいだに写るものを大きく分けると、三つしかありません。料理と、部屋と、人です。このうち料理と部屋は、条件さえ揃えばいつでも撮れます。撮り直しがきくとまでは言いませんが、料理が下げられるまで、日が暮れるまでのあいだは、そこにあり続けます。

人だけが違います。人は、同じ並びで二度座りません。席は決まっていても、身体の向きも、話している相手も、そのときの顔も、一分ごとに変わっていきます。だから会食の写真の中心は、どうしても人の組み合わせのほうになるのだと思います。

ジェリッシュ・ウェディングの場合、会食のあいだに撮る写真は、土地を歩くフォトツアーと同じく、一日のなかにもとから組み込まれています。別立てで頼むものではない、という前提で、以下を読んでいただければと思います(写真家がプロデュースする結婚式、という考え方)。

全員が一枚に入る写真は、会食中に撮れるものか

ALL IN ONE FRAME

ここから少しだけ、数字の話をします。

カメラのレンズには、写る範囲の広さがあります。三十五ミリ判(いわゆるフルサイズ)で考えると、横に写る幅は「撮る距離 × 36 ÷ 焦点距離(ミリ)」でおおよそ求まります。三メートル離れて五十ミリのレンズなら、横に約二・二メートル分が入る、という計算です。

焦点距離横に写る角度2mで写る幅3mで写る幅
24mm約74度約3.0m約4.5m
35mm約54度約2.1m約3.1m
50mm約40度約1.4m約2.2m
85mm約24度約0.9m約1.3m

次に、食卓の長さを出します。ひとり分の幅を六十センチとして、向かい合わせに座るとすると、こうなります。

席に着く人数片側の人数卓の長さのめやす
10名5名約3.0m
12名6名約3.6m
15名7〜8名約4.5m

二つの表を重ねると、見えてくることがあります。三メートルの卓を真横から一枚に収めるには、三メートル離れて二十四ミリ。四・五メートルの卓なら、三メートル下がってもまだ足りません。つまり、かなり広いレンズで、しかも壁際まで後ろに下がることになります

けれど、部屋の広さには限りがあります(少人数の結婚式に向く会場の広さとは)。撮る人は、壁より後ろへは下がれません。斜めから狙えば画面には入りますが、そのぶん奥の方は小さくなります。会食中に、全員が同じ大きさで一枚に並ぶ写真というのは、思っているより成立しにくいものです。

全員が一枚に、という絵が欲しいのであれば、席に着いているあいだではなく、みんなが立ち上がったときのものだと考えておくほうが確かだと思います。

十名から十五名の食卓に、組み合わせはいくつあるか

HOW MANY PAIRS

もうひとつ、数えておきたいものがあります。二人ずつの組み合わせが、その食卓にいくつあるか、です。

その場にいる人数二人の組み合わせの数
6名15通り
8名28通り
10名45通り
12名66通り
15名105通り
20名190通り

十名で四十五通り、十五名なら百五通りです。人数が一・五倍になっただけで、組み合わせは二倍以上になりました。人数に比例して増えるのではなく、二乗に近い速さで増えていくからです。

百五通りを全部撮る、というのは無理な話です。ということは、会食の写真は「撮り漏らさないための一覧表」にはならない、ということでもあります。一覧にした瞬間に、必ず撮れないものが出ます。

かわりに効くのは、どこに居続けるか、のほうだと思います。人の集まっているところに居さえすれば、組み合わせは向こうから生まれてきます。

結婚式の料理の写真は、いつ撮るものか

THE DISHES

料理には、出てきた瞬間しかありません。

湯気も、氷も、ソースの照りも、数分で変わります。いちど手をつけてしまえば、もう戻せません。会食のあいだに写るもののうち、やり直しのきかなさでいえば、料理がいちばん厳しいものです。

ですから、料理を残したいと思うときに決めておくとよいのは、「どの料理を撮るか」ではなく、「出てきたときに、少しだけ待つかどうか」のほうだと思います。運ばれてくるたびに待つ必要はありません。これは、と思ったものだけ、置かれてから手をつけるまでに、数秒の間があればいい。

何が、どんな形で出てくるかは、その日の献立によって違います。会食の中身がどう決まっていくのかは、結婚式の会食を、北陸の食材で考えるということのほうにまとめました。

会食のあいだ、写真を撮る人はどこにいるのか

WHERE THE CAMERA STANDS

撮る場所の話をします。機材や腕前の話ではありません。

会食中の写真が撮りにくくなる理由のひとつは、撮る人が動くと目立つ、ということです。卓に着く人が多いほど、通路を歩けば誰かの視界を横切ることになります。人数の少ない食卓では、その心配が小さくなります。撮る人の側も、居場所をひとつ決めて、長くそこにとどまっていられます。

もうひとつ。その日、会場に他の組が入らないのであれば、背景に知らない方が写り込みません(結婚式当日、会場に他の組が入らないとどうなるか)。どちらを向いて撮っても、後ろを他の組の列席者が通りかかることはありません。

それから、光の向きです。窓がどちら側にあるかで、食卓のどちら側が明るくなるかが決まります。夕方に近づくほど、その差ははっきりしてきます(日本海に夕日が沈む時間帯は、季節でどう変わるか)。どの席がどう明るくなるかは会場ごとに違うので、下見のときに窓の向きを見ておかれるとよいと思います。

会食中の写真で、あとから「撮っておけばよかった」となるのは何か

WHAT GETS MISSED

終わったあとになって出てくる心残りがあるとすれば、それは料理を撮り忘れたということではなく、もっと単純なことかもしれません。自分たちと、親や祖父母が一緒に写っている写真が、一枚も見当たらない。そういうことです。

理由ははっきりしています。当日、ご本人たちは撮られる側にいます。カメラは自分たちのほうを向いているので、自分たちと誰かが並んでいる絵は、こちらからは見えません。見えないものは、頼み忘れます。

もうひとつ、あとから探して見つからないことがあるのが、部屋そのものです。しつらえた卓の上や、窓の外や、天井の高さ。目の前にずっとあったものほど、一枚も残っていないということが起こります。ずっとあると思っているうちに、片付けられてしまうからです。

一覧にする価値があるのは、この二つだけ

組み合わせを全部数えるのは無理でも、「自分たちと、この方」という数人分と、「誰も座っていない部屋を一枚」だけなら、多くて十いくつです。そこだけ言葉にしておけば、あとは委ねてしまってかまわないと思います。

会食中に撮ってほしいものは、事前に伝えておくべきか

BEFORE THE DAY

伝えておいてよいと思います。ただし、場面ではなく、人の名前で。

「歓談の様子を」と言われると、それは会食のあいだじゅうずっと、ということになってしまいます。「祖母と、三人で一枚」と言われれば、それはその日一度きりの、はっきりした頼みごとになります。当日に効くのは、後者のほうです。

伝える先は、打ち合わせの時間です(結婚式当日までの、打ち合わせという時間)。当日、料理と料理のあいだに言付ける形でも遅くはありませんが、そのときにはもう、みなさん席に着いています。

そして、何も言わないでおく、というのもひとつの選び方です。任せてしまえば、その日にあったことが、そのまま写るのだと思います。招いたご家族とどう過ごすかを先に決めておけば、写真のほうは、あとからついてくるように思います(結婚式に招く家族と、どう過ごす一日にするか)。

会食の写真について、もう少し詳しく

A CLOSER LOOK

食卓のある二つの会場については会場のページに、会食が一日のどのあたりに来るのかは一日の流れのページにまとめています。総額の目安と、その中に何が入っているのかはプランのページをご覧ください。

結婚式の会食中は、どんな写真を撮っておくとよいですか?

「何を」より「誰と誰が」で考えるのがおすすめです。料理と部屋はしばらくそこにありますが、人の並びは一分ごとに変わって二度と戻りません。とくに、ご本人たちと親御さま・祖父母さまが一緒に写っている一枚は、当日は撮られる側にいて自分では気づきにくいので、先に言葉にしておくと残しやすくなります。

少人数の会食で、全員が一枚に写った写真は撮れますか?

席に着いたままだと難しいことがあります。ひとり60cmとして10名で約3m、15名で約4.5mの卓になり、3m離れて真横から収めるには24mm相当の広いレンズが要ります(写る幅は「距離×36÷焦点距離」でおおよそ求まります)。全員が同じ大きさで並ぶ一枚は、席を立ったときに撮るものと考えておくほうが確かです。

会食中に撮ってほしいものを、事前に伝えたほうがよいですか?

伝えるなら、場面ではなく人の名前で伝えるのが確実です。10名なら二人の組み合わせが45通り、15名なら105通りあり、すべてを撮り切る一覧表は作れません。「この方と一枚」という数人分だけ打ち合わせでお伝えいただければ、あとは委ねていただいてかまいません。

同じ食卓は、二度並ばない

会食の写真を、記録だと思うと、抜けがないかどうかが気になります。けれど、四十五通りも百五通りもある組み合わせのうち、その日そこに生まれたいくつかが写っている、というだけのことです。抜けはあります。最初からあります。

それでも一枚ずつを見ていけば、誰がどちらを向いていたか、誰の隣に長く座っていたかが見えてきます。同じ食卓は、二度とは並びません。そのことのほうが、たぶん、あとになって効いてきます。

どんな食卓にしたいか、誰と誰を並べたいか。まだ何も決まっていなくてかまいませんので、思っていることを聞かせてください。

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