遠方の結婚式で、当日の進行はどう委ねるか。新郎新婦が時計を持たずに一日を過ごすための考え方

窓辺に外して置かれた腕時計

福井の会場で挙げる結婚式は、準備のあいだ、その場所に何度も立てるわけではない結婚式でもあります。オンラインと横浜で打ち合わせを重ね、頭のなかで何度も一日を組み立てて、当日、その一日のなかに入る。そのとき、当日の進行は誰が持っているのか。ここでは、遠方の結婚式で「当日の進行を委ねる」とはどういうことかを、何を手放し、何を手元に残すのかという分け方から考えてみます。

目次

遠方の結婚式で、当日の進行は誰が担うのか

WHO RUNS THE DAY

先にお答えします。当日の進行を担うのは、その場にいて、その一日の設計を知っている側です。ジェリッシュ・ウェディングでは、私たちがそれにあたります。新郎新婦は、進行役を持ちません。

ご相談から当日までの流れには、チェックインのところで「ここから先の進行は、私たちに委ねてください」と書いています。この記事は、その一行の理由の部分です。なぜ委ねたほうがよいのか、委ねるために何を先に渡しておくのか。

ただ、遠方の結婚式には、この分け方が守られにくい事情がひとつあります。そこから見ていきます。

遠方の結婚式で、新郎新婦が「時計係」になりやすい理由

HOLDING THE CLOCK

準備のあいだに会場へ行けないと、一日を頭のなかで組み立てることになります。何度も組み立てるうちに、その一日をいちばん細かく知っているのが、新郎新婦ご自身になっていきます。

すると当日、こういうことが起きます。いちばんよく知っている人が、いちばん先に「次は何だったか」と考える。食卓で話しているあいだも、頭の片隅で時刻を数えている。ご自身の結婚式で、あるいは親しい方の式で、家族の顔より進行表のほうを見ていた、という覚えのある方もいるのではないでしょうか。

人数が多い式ほど、その進行表は細かくなります。人数の多さそのものに違和感を覚えてきた方の話は大人数の披露宴に違和感がある人へ。もうひとつの選び方に書きました。けれど、人数を減らしただけでは、時計係はいなくなりません。知っている人が自分だけなら、少人数でも同じことが起きます。

この記事で言う「委ねる」は、その時計を、当日はじめから持たないということです。持たないためには、同じ一日を同じ細かさで知っている人が、その場に別にいる必要があります。

「決めること」と「進めること」を分けると、委ねるものがはっきりする

DECIDING AND RUNNING

結婚式の当日に起きていることを、ふたつに分けてみます。「決めること」と「進めること」です。委ねるのはこのうち、進めることだけです。

決めること進めること
誰が新郎新婦(ご家族と相談しながら)私たち
いつ準備のあいだ。オンラインと、横浜での対面で当日、その場で
中身誰と過ごすか。いつ、どこで。譲れないもの。お料理・衣装・装花の方向次へ移る頃合い。時刻の前後。ご家族の様子に合わせた間のとり方
手元に残るもの決めたことすべてご家族と座っている時間

左の列は、当日になっても手元から離れません。離れるのは右の列、進めるほうだけです。決めることまで手放すのは委ねることとは別のものなので、あとで分けて書きます。

左の列を、どの順に、どこで決めていくかは、結婚式の準備で、最初に決めるべきことは何かと結婚式の打ち合わせは、オンラインで何を決められるかに書いています。右の列は、この記事の残りで扱います。

当日の進行を委ねる前に、渡しておきたい三つのこと

THREE THINGS TO HAND OVER

進めることを委ねるには、進める側が当日に判断するための材料が要ります。進行表は決めたことの結果であって、判断の材料ではありません。渡しておきたいのは、次の三つです。

渡しておくこと当日、どの判断に使われるか
顔ぶれと、気にかけておきたい方間のとり方。長く座る時間と、席を立てる時間をどこに置くか
譲れないひとつ時刻を前後させるとき、何を動かさないか
変えてよい幅空や体調に合わせて、どこまで前倒し・後ろ倒ししてよいか

ひとつめは、顔ぶれです。お祖父さまが長く座っていると疲れやすいこと、小さなお子さんが午後に眠くなること。進める側がそれを知っていれば、間のとり方が変わります。高齢のご家族と小さなお子さんについては、高齢の家族と、遠方での結婚式と子ども連れで、遠方の結婚式へに、それぞれ書きました。

ふたつめは、譲れないひとつです。日が沈むのを家族そろって見たい。お母さまと並んで写りたい。ひとつに絞っておくのは、当日に時刻を動かす場面が来たとき、何を動かさないかがはっきりするからです。三つも四つもあると、進める側はどれを守るか迷い、結局は新郎新婦に尋ねることになります。それでは時計が戻ってきてしまいます。

三つめは、変えてよい幅です。外で、と決めたことを、空の様子で中に移してよいか。食卓の時間が思ったより長引いたら、あとを後ろへ送ってよいか。この幅を先に渡しておくと、当日の変更は「相談」ではなく「判断」になります。天気の変わり方そのものは結婚式の当日に雨が降ったらどうするかに書いています。

貸切の会場で進行を委ねると、何が動かせるのか

WHAT CAN MOVE

進行を委ねる、という言葉は、動かす権限のない相手には向けられません。だから、誰に委ねるかの前に、その人が実際に動かせる場所かどうかが先に来ます。

福井の会場は、その日、一家族だけで貸し切ります。同じ日にほかの組がいないので、時刻を前後させるときに、ほかの誰かと調整する必要がありません。変えてよい幅を渡された側が、その幅のなかで実際に動かせる。貸切であることは、ここで効いています。他の組が入らないことで一日がどう変わるかは、結婚式当日、会場に他の組が入らないとどうなるかに書きました。

動かせないものも、あります。日の入りの時刻です。福井の日の入りは、六月下旬と十二月上旬とでおよそ二時間三十五分違い、同じ日なら誰にも動かせません(月ごとの時刻は日本海に夕日が沈む時間帯は、季節でどう変わるかに)。当日の進行でいちばん大きな判断は、この動かせないひとつに、動かせるものをどう寄せるかです。それを、新郎新婦が腕時計を見てやる必要はありません。その時刻のそばには、写真家がいます。

一日のなかで時刻を置くものがいくつあって、そのうちどれが動かせるのかという整理は、結婚式当日のスケジュールは、何時間で考えるものかにあります。この記事で見ているのは、置いた時刻を当日に持つのが誰か、という一点だけです。

進行を委ねることと、任せきりにすることは、どう違うか

ENTRUSTING, NOT LEAVING

委ねることと、任せきりにすることは、似ていて違います。委ねるのは、決めることを自分たちで決めたうえで、進めるほうを渡すこと。任せきりは、決めることまで渡してしまうことです。

任せきりにすると、当日は、知らない一日になります。知らない一日では、時計を手放しても落ち着きません。何が起きるのか分からないからです。反対に、決めることを自分たちで決めてある一日は、進めるほうを人に渡しても、何が起きるかを知っています。知っているから、時計を見なくていられる。委ねるために準備があるのは、そういう順番です。その準備がどんな時間かは結婚式当日までの、打ち合わせという時間にあります。

委ねた日の新郎新婦の居場所は、進める側ではなく、ご家族と同じ側です。主催者ではなく、その日そこにいる家族の一人として座る。進める人が別にいないと、誰かが立ち上がって進めはじめることになります。ご両親か、新郎新婦が、です。

決めるところは自分で、進めるところは人に。この分け方が合う人、合わない人がいると思います。委ねるという選び方が、どんな人のものなのかは上質な宿泊体験の先に、結婚式で求めるものに、決まった形に家族を合わせるのではなく家族から一日を組むという考え方は結婚式を「誂える」とは、どういうことかに書きました。

招く家族には、当日の進行をどこまで伝えておくか

WHAT TO TELL THE FAMILY

ご家族に伝えておきたいのは、時刻ではなく、「その日は、何時に何をするかを気にしなくてよい」ということのほうです。

時刻の並んだ表を渡すと、ご家族も時計係になります。とくにご両親は、進める側に回ろうとなさることが多いように思います。それを止められるのは、言葉ではなく、進める人が別にいるという事実だけです。進める人がいる、だから何も見張らなくていい。そう伝えておくと、ご両親も座っていられます。

伝えなくてよいのは進行のことで、道のりのことは別です。会場までどう来て、どこで降りるかは、むしろ丁寧に。ワクテラスは福井駅前から車でおよそ五十分の場所にありますから、そちらの案内の考え方は駅から遠い結婚式場を、どう案内するかに書きました。進行は委ねて、道のりは伝える。渡すものと渡さないものが、ここでも分かれます。

当日の進行を委ねることについて、もう少し詳しく

A CLOSER LOOK

はじめてのご相談から、当日のチェックイン、翌朝のチェックアウトまでを順に追ったものがご相談から当日までの流れです。挙式、お料理、ご宿泊、衣装、ヘアメイク、装花、写真、プロデュース料まで含めた総額の目安はプランと料金のページに、人数・ご宿泊・お打ち合わせの方法についての短い答えはよくあるご質問にまとめています。当日のお支度を誰と整えるかは結婚式のお支度を、誰と・どこで整えるかに。

遠方の結婚式で、当日の進行は誰がするのですか?

当日その場にいて、一日の設計を知っている私たちが進めます。新郎新婦は進行役を持ちません。決めることは準備のあいだに新郎新婦が、進めることは当日に私たちが、という分け方です。

進行を委ねると、自分たちの希望どおりにならないのではありませんか?

希望は、準備のあいだに決めることとして手元に残ります。委ねるのは、決めたことを当日に進める部分だけです。譲れないひとつと、変えてよい幅を先に渡しておけば、当日の判断はその範囲のなかで行われます。

招く家族に、当日の進行表を渡しておくべきですか?

時刻の並んだ表を渡す必要はありません。「何時に何をするかは気にしなくてよい」と伝えるほうが、ご家族も時計を見ずに過ごせます。会場までの道のりの案内は、進行とは別に、丁寧に伝えておくのがよいと思います。

腕時計は、外して置いておく

委ねるとは、決めることを手放すことではなく、進めることを手放すことです。決めるのは準備のあいだに、自分たちで。当日は、ご家族と同じ側に座る。そのための材料として、顔ぶれと、譲れないひとつと、変えてよい幅を、先に渡しておく。

その日、時刻を見ているのは私たちです。ご家族が見るのは、互いの顔と、日本海に沈んでいく陽のほうでかまいません。腕時計は、部屋の窓辺に外して置いておいてください。

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