結婚式の相談をしていると、進行表の話になったあたりで、ふと手が止まる方がいます。ここに何を入れればいいのでしょう、と。友人のスピーチ、余興、ムービー。披露宴といえば、そういうものが並ぶのだと思っていた。けれど集まるのが家族だけなら、いったい誰が誰に向けて余興をするのか。ここでは、余興というものが何をしていたのかを、いちど分解してお話しします。
少人数の結婚式に、余興は必要か
IS IT NECESSARY?
要りません、と申し上げてよいと思います。ただし、条件がひとつあります。余興が埋めていた時間の代わりに、何が入るのかが決まっていること。無くしただけだと、食事が終わったあとに、手持ち無沙汰な時間がぽかんと空きます。10名から15名、名前を呼べば全員が振り向く人数なら、そこに入るのはたいてい、会話です。会話が入ると分かっているなら、余興は無くてかまいません。
結婚式の余興は、そもそも何のためにあるのか
WHAT IT WAS FOR
余興の仕事は、じつは二つだけです。ひとつは、間を埋めること。会場に何十人もいて、そのうちの多くが互いを知らないとき、放っておくと沈黙が生まれます。前で誰かが何かをしていれば、そこを見ていればよくなる。もうひとつは、時間を進めること。料理が出て、片づいて、また出る。その待ち時間に骨組みを与えているのが、進行表に並んだ演目です。つまり余興は、お祝いの中身というより、大人数の会をなめらかに動かすための装置でした。
だとすると、問いはこう変わります。人数が少ないとき、その二つの仕事は、まだ必要でしょうか。
| 余興がしていた仕事 | 大人数の披露宴/10〜15名の会食 |
|---|---|
| 知らない人どうしの間を埋める | 必要/全員が互いを知っている |
| 沈黙を避ける | 必要/黙っていても気まずくない相手 |
| 時間を前に進める | 進行表が担う/会話がひとりでに進む |
| 主役に注目を集める | 演目が要る/全員がもともと見ている |
並べてみると、少人数の会食では、どの列も埋まらないことに気づきます。余興が要らないのではなく、余興が引き受けていた仕事を、人数のほうが先に済ませてしまっている、という言い方のほうが近いかもしれません。
余興をやめた時間は、何に使えるのか
WHAT FILLS THE TIME
ジェリッシュ・ウェディングの会場は、その日、一家族だけのものになります。たとえば福井のワクテラスなら、チェックインは午前11時、チェックアウトは翌日の午前11時。挙式の時刻に急かされることも、次の組に席を譲ることもありません。食卓には北陸の食材が並び、夕方には日本海に陽が沈み、夜はそのまま泊まって、翌朝もまだ、その場所はご家族のものです。海を眺めながらの、少し長い朝食。
この長さを前にすると、余興という考え方そのものの寸法が合わなくなります。二時間の会をどう持たせるかという工夫だったからです。埋めなければならない時間が無い場所では、埋めるための道具も要りません。空いたところには、話しそびれていた話が入ります。
それでも何かしたいときは、何を選べばよいか
IF YOU STILL WANT SOMETHING
やりたい気持ちがあるなら、やってかまわないと思います。ただ、選ぶときの目安がひとつあります。見る側と、される側に分かれないこと。少人数の会では、客席が薄いぶん、前に立った人と座っている人の距離がそのまま出ます。全員が同じ側にいられるものかどうか。それだけを確かめておけば、たいてい失敗しません。
少人数の会で、やるかどうかを決める前に確かめたいこと
- その時間、見る側にまわる人が何人いるか
- 誰かに準備や練習をお願いすることにならないか
- 機材や仕込みが要るなら、当日それを誰が動かすか
- それをやめたとき、代わりに何の時間になるか
最後のひとつが、いちばん大事だと思います。やめたあとに残るものが思い浮かぶなら、それは足さなくてよかったものです。
余興のない結婚式は、何も残らないのか
WHAT REMAINS
残るものが心配で、演目を足そうとする方は多いように思います。何かやっておかないと、あとで振り返るところが無いのではないか、と。けれど、あとから見返されるのは、たいてい進行表に無かったほうです。私たちは写真の仕事から生まれました。残すつもりで、一日をつくる。挙式の前後には写真家と土地を歩くフォトツアーがあり、会食のあいだの写真も最初から含まれています。残るのは、演目ではなく、そこにいた人の顔のほうだと思います。
一日の中身について、もう少し詳しく
A CLOSER LOOK
少人数で挙げるという選び方そのものは、10〜15名で挙げるという考え方のページにまとめています。11時のチェックインから翌朝までの時間の流れは一日の流れのページ、福井・日本海のほとりの会場は会場のページをご覧ください。挙式、お料理、ご宿泊、衣装、ヘアメイク、装花、写真、プロデュース料まで、総額の目安は150万円から200万円。内訳は、一組ごとにお見積りします。詳しくはプランのページに置いています。
少人数の結婚式に、余興は必要ですか?
必要ではありません。余興は、互いを知らない人が多い会で間を埋め、時間を進めるための仕組みでした。10〜15名で全員が互いを知っている会食では、その役目を会話が引き受けます。
余興をやらないと、会食の時間が間延びしませんか?
やめた時間に何が入るかを先に決めておけば、間延びしません。会場を貸し切る形なら、チェックインから翌朝までが使えるので、そもそも埋めなければならない時間がありません。
少人数の結婚式で何かするなら、選ぶ目安はありますか?
見る側とされる側に分かれないものを選びます。人数が少ないほど、前に立った人と座っている人の距離が出ます。全員が同じ側にいられるかどうかで判断してください。
足すのではなく、空けておくという考え方
進行表の空欄は、埋めるためにあるのだと思い込んでいると、つい何かを探してしまいます。けれど空欄は、まだ何が起きるか決めていない、というだけの印です。誰かが立ち上がって話しはじめるかもしれないし、誰も何も言わないまま、日が傾いていくのかもしれない。その日の日本海の夕日は、ご家族のためだけに沈みます。そこに演目はありません。どんな一日にしたいか、まだ言葉にならなくてもかまいません。まずは、お話からご一緒させてください。

