結婚式の準備は、決めたことをひとつずつ積んでいく作業です。けれど当日には、積んだとおりにならないことが、ひとつかふたつ起きます。空が変わる。列車が遅れる。誰かが熱を出す。ここでは、結婚式当日に起きうる変更を「何が、いつ分かるのか」で分けたうえで、どこまで備えておけば足りるのかを考えてみます。
結婚式当日の変更に、どう備えればよいのか
THE SHORT ANSWER
先にお答えします。備えるというのは、起きうることの数だけ代わりの案を用意しておくことではありません。変更の種類ごとに、「いつ分かるか」と「誰が判断するか」を先に決めておくことです。代わりの中身は、その時刻が来てから決めても間に合います。
そう考えるのは、当日の変更が、前もって中身を決めにくいものだからです。雨が何時に降りだすのか。どの列車が何分遅れるのか。半年前には、どれも分かりません。案を何通りも作っておくと、当日は「どの案を使うか」という相談がひとつ増えます。
空のことだけを取り出した話は結婚式の当日に雨が降ったらどうするかに、当日の進行を誰が持つのかは遠方の結婚式で、当日の進行はどう委ねるかに、すでに書きました。この記事では、空に限らず、当日に変わりうるものを一度ぜんぶ並べてみます。
結婚式当日に変わりうるものには、どんな種類があるのか
FOUR KINDS OF CHANGE
当日に変わりうるものは、大きく四つに分けられます。それぞれについて、分かる時期と、前もってできることと、当日に動かすものを並べると、次のようになります。
| 変わるもの | はっきり分かる時期 | 前もってできること | 当日に動かすもの |
|---|---|---|---|
| 空(雨・風・気温) | おおよそは数日前、確かなのは当日 | ご家族に身支度を伝える | 外に出る時間の位置 |
| 到着(列車・道路の遅れ) | 当日の朝から道中 | 誰がどの便で来るかを一か所に集める | 始まりの頃合い |
| ご家族の体調 | 前日から当日 | 気にかけておきたい方を伝えておく | 座っている長さ、休む間 |
| 新郎新婦の体調 | 前日から当日 | 直前の一週間に予定を詰めない | お支度から先の、間のとり方 |
並べてみると、二つのことに気づきます。ひとつは、左から二列目です。四つとも、はっきり分かるのは前日から当日にかけて。半年前のお打ち合わせで決められるのは、変更の中身ではなく、変更の受けとめ方のほうだけです。
もうひとつは、右端の列です。当日に動かすものは、どれも時間の位置か、時間の長さです。式をやめる、食卓をやめる、という話は四行のどこにも出てきません。順番で組んである一日は、ひとつが後ろへずれても、並びそのものは残ります(並びで組むという考え方は結婚式当日のタイムラインは、どう作るのかに)。
なお、日取りそのものを改めるかどうかは、この記事の外に置きます。一組ごとの取り決めに関わることで、一般論としては書けないからです。ここで扱うのは、その日のなかで起きる変更です。
天気予報は、結婚式の何日前からあてになるのか
HOW FAR AHEAD
四つのうち、空だけは予報が出ます。では、その予報は何日前からあてになるのでしょうか。気象庁は、発表した予報がどれだけ当たったかを毎月確かめて、公表しています。福井を含む北陸地方の、雨や雪が「降る・降らない」の予報が当たった割合は、次のとおりです。
| いつの予報か | 年平均 | 5月 | 10月 |
|---|---|---|---|
| 7日先 | 70% | 72% | 66% |
| 6日先 | 73% | 75% | 70% |
| 5日先 | 77% | 78% | 73% |
| 4日先 | 78% | 81% | 74% |
| 3日先 | 81% | 83% | 78% |
| 明後日 | 84% | 86% | 85% |
| 明日 | 86% | 89% | 87% |
気象庁「降水の有無の適中率の例年値」より、北陸地方の2016〜2025年の平均です。明日・明後日は17時発表の天気予報、3日先から7日先は11時発表の週間天気予報の数字です。
年平均で見ると、七日先の予報が当たるのは七割。十回のうち三回は外れます。前の日の夕方に出る予報になると八割六分で、外れるのはおよそ七回に一回です。七日先から前の日までのあいだに、十六ポイント上がります。十月はこの開きがもっと大きく、七日先では三回に一回が外れ、前の日には八割七分まで上がります。
この表から読み取れるのは、一週間前の予報と前の日の予報とでは、使い道が違うということです。一週間前の予報は、決めるためには粗い。けれど、伝えるためには足ります。羽織るものを一枚、とご家族に知らせておくぶんには、七割で十分です。外に出る時間をどこに置くかを決めるのは、前の日の夕方の予報と、当日の朝の空を見てからでかまいません。
そして、前の日の予報でも、七回に一回は外れます。しかもこの数字が言っているのは「降るか、降らないか」までで、何時に降るかは含まれていません。ですから、前の日に決めたことは、当日にもう一度変えてよいことにしておきます。
当日の変更は、いつ・誰が判断するのか
WHEN AND WHO
予報の数字に合わせると、判断の時点は三つに分かれます。それぞれの時点で、していることが違います。
| 時点 | 分かっていること | すること | 誰が |
|---|---|---|---|
| 一週間ほど前 | おおよその空模様。顔ぶれの都合 | ご家族に身支度を伝える | 新郎新婦 |
| 前の日の夕方 | 明日の予報。ご家族の体調。乗る便 | 気がかりを、まとめて一度知らせる | 新郎新婦から私たちへ |
| 当日 | その場の空。到着の様子。顔色 | 頃合いを前後させる | 私たち |
当日の判断を私たちが持つのは、その場にいて、一日の並びを知っているからです。ただし、判断には材料が要ります。どこまで前後させてよいか、何だけは動かさないか。この幅を準備のあいだに受け取っていれば、当日の変更は、新郎新婦への相談ではなく、その場の判断で済みます。
当日、新郎新婦にしか決められないことも、ひとつだけ残ります。ご自身の体のことです。少し休みたい、と言えるのは本人だけですから、これは委ねられません。決めておけるのは、それを誰に言うか、のほうです。
列車や道路が遅れたとき、結婚式の一日はどうなるのか
WHEN SOMEONE IS LATE
東京から福井へは北陸新幹線で、会場のひとつワクテラスは、福井駅前から車でおよそ五十分のところにあります。チェックインは午前十一時。ご家族がそれぞれの場所から集まる以上、誰かの到着が後ろへずれることは、考えに入れておいてよいと思います。
遅れの重さは、一日の長さで変わります。ワクテラスの一日は、午前十一時から翌日の午前十一時までの二十四時間、千四百四十分です。六十分の遅れは、そのうちの約四パーセントにあたります。同じ六十分が、かりに三時間の予定のなかで起きたとすると、三分の一です。
その日、会場を使うのは一家族だけですから、始まりが後ろへずれても、後ろに控えている予定とぶつかりません。動かないのは、日の入りの時刻だけです(何月に何時ごろ沈むのかは日本海に夕日が沈む時間帯は、季節でどう変わるかで)。日が沈むところを全員で見たい、というように、日の入りのそばに置きたいものが決まっていれば、そこは動かさずに、手前にあるものを後ろへ送るか、短くします。
前もってできるのは、誰がどの便で来るのかを一か所に集めておくことと、遅れそうなときの連絡先をひとりに決めておくことです。乗り継ぎや席の取り方は東京から福井へ、家族での移動という段取りに、駅から会場までの案内は駅から遠い結婚式場を、どう案内するかに書きました。雪の季節であれば、前の日に福井へ入っておくという考え方もあります(福井の気候と、結婚式に向く季節の考え方)。
家族や自分の体調が変わったとき、先に決めておけることは何か
WHEN SOMEONE IS UNWELL
体調には、予報が出ません。前もってできることは二つです。知らせておくことと、言い出しやすくしておくこと。
まず、ご家族のこと。長く座っているのがつらい方、午後に眠くなる小さなお子さん。準備のあいだにそれを聞いていれば、当日、間のとり方を変えられます。そして、挙式も、会食も、ご宿泊も、ひとつの会場のなかにあります。席を外すことが、そのまま「帰る」ことにはなりません。少し休んで、また食卓へ戻ってくる、という過ごし方ができます。休める場所がどこになるかは会場によって違いますので、そこは会場が決まった時点で確かめておきます。近くの医療機関のことも含め、年配のご家族については高齢の家族と、遠方での結婚式に、お子さんについては子ども連れで、遠方の結婚式へにまとめました。
次に、新郎新婦ご自身のこと。この二人だけは、代わりがいません。前もってできるのは、直前の一週間に予定を詰めこまないことくらいです。当日については、進行を持たないことが、そのまま体を休めることになります。
結婚式の前の日までに、決めておくことは何か
BY THE DAY BEFORE
ここまでの話を、前の日までに決めておくことに直すと、五つになります。
前の日までに、決めておきたいこと
- 外に出るかどうかを、いつ見きわめるか——前の日の夕方の予報と、当日の朝の空
- 遅れそうなとき、誰に連絡するか——連絡先はひとりに
- 気にかけておきたい方は、どなたか
- 何があっても動かさないものは何か——ひとつだけ
- 「少し休みたい」を、誰に言うか
雨の場合の表、遅れた場合の表、と増やしていっても、当日に起きるのは、そのどれとも少し違うことです。決め方が決まっていれば、起きたことに合わせてその場で組み直せます。
当日の変更への備えについて、もう少し詳しく
A CLOSER LOOK
はじめのご相談から翌朝に会場を発つまでの順番はご相談から当日までの流れに、福井・日本海のほとりの二つの会場のことは会場のページに、一日に何が入っていて総額がどのくらいかはプランと料金のページで、ご宿泊や人数についての問いはよくあるご質問でご覧いただけます。この記事に出てきた決めごとを、準備のあいだのどこで話すのかは、結婚式当日までの、打ち合わせという時間をご覧ください。
結婚式の当日に予定が変わったら、誰が判断するのですか?
当日、その場にいて一日の並びを知っている私たちが判断します。どこまで前後させてよいか、何を動かさないかを準備のあいだに伺っておき、その幅のなかで頃合いを動かします。ご自身の体調のことだけは、新郎新婦ご本人からお知らせください。
天気予報は、結婚式の何日前から参考になりますか?
気象庁の検証(北陸地方・2016〜2025年の平均)では、雨や雪が降る・降らないの予報が当たった割合は、7日先で70%、3日先で81%、前日発表の明日の予報で86%です。一週間前の予報はご家族に身支度を伝える目安に、外に出る時間の見きわめは前日の夕方の予報と当日の朝の空で、という使い分けになります。
家族の体調が心配です。前もって何をしておけばよいですか?
気にかけておきたい方がどなたかを、準備のあいだにお知らせください。当日の間のとり方に反映します。挙式・会食・ご宿泊はひとつの会場のなかにありますので、席を外して休み、また戻ってくるという過ごし方ができます。
代わりの案より、決める時刻を
当日に変わりうるものは、空と、到着と、ご家族の体調と、ご自身の体調の四つ。どれも、はっきり分かるのは前の日から当日にかけてです。だから、前もって決めておくのは、代わりの案ではなく、いつ見きわめるか、誰が判断するか、何を動かさないか、のほうになります。
玄関に傘を立てて、椅子に膝掛けを一枚かけておく。備えというのは、そのくらいの大きさのものだと思います。使わなければ、畳んだまま持って帰ればいい。日取りや顔ぶれが固まる前でも、気がかりなことから、お聞かせください。

