結婚式の一日が終わると、手元には、まだ何もありません。衣装は脱ぎ、料理は食べてしまい、花は、やがてしおれます。残るはずの写真は、このとき、まだ写真家のカメラの中にあります。ここでは、結婚式が終わってから写真が届くまでのあいだに何が起きているのか、そのあいだに新郎新婦がしておくことはあるのかを、順に見ていきます。
結婚式の後、写真はどんな流れで届くのか
THE SHORT ANSWER
先にお答えします。流れは五つです。一日が終わる。家に帰る。写真家の手元で、選ぶ・整える・形にする。届く。分ける。このうち新郎新婦の側に手があるのは、最初のひとつと最後のひとつだけで、あいだの三つは、待っている時間です。
この記事では、日数と枚数を書きません。何日で届くか、何枚になるかは、その日の長さと顔ぶれで変わりますし、ここに数字を置くと、約束の形になってしまいます。そのご家族の一日についての数字は、お打ち合わせのなかで一組ずつ確かめていただくことにして、ここでは、そのあいだに何が起きているかのほうを書きます。
写真が一日のどこで撮られるのかはフォトツアーとは何かに、会食のあいだに何が写るのかは結婚式の会食中の写真は、何を撮っておくべきかに、写真家がはじめから一日のなかにいる理由は写真家がプロデュースする結婚式、という考え方に書きました。この記事は、その写真が「その日のあと」どう動いていくか、という話です。
結婚式の「後」は、いつから始まるのか
WHEN THE DAY ENDS
ジェリッシュ・ウェディングでは、翌朝までを結婚式と考えています。ワクテラスであれば、チェックインは午前十一時、チェックアウトは翌日の午前十一時。海を眺めながらの朝食までが一日のうちで、「後」が始まるのは、会場を出たときからです。翌朝の過ごし方そのものは福井の宿泊と、結婚式翌日の過ごし方に、一日の並びが翌朝の発つ時刻まで続くという話は結婚式当日のタイムラインは、どう作るのかにあります。
会場を出た時点で、写真はまだ一枚も手元にありません。写っているはずのものが、まだ見えない。結婚式の後は、その状態から始まります。その日に空が変わったとしても、誰かの到着が後ろへずれたとしても、それもその日の一部です(当日の変更をどう受けとめるかは結婚式当日の変更に、どう備えるかに)。
私たちはご相談から当日までの流れの最後に、「この一日は、写真になって、ご家族のもとに残ります」と書いています。会場を出てから写真が届くまでは、その一行が、まだ途中の時間です。
写真が届くまでのあいだに、何が起きているのか
WHAT HAPPENS IN BETWEEN
写真の仕事では、撮ったあとに、おおよそ三つのことが順に起きます。選ぶ、整える、形にする。順番も、このとおりです。
| 工程 | していること | そこで決まること | 新郎新婦がすること |
|---|---|---|---|
| 選ぶ | 撮ったすべての中から、残すものを決める | どの瞬間が残るか。何枚になるか | なし |
| 整える | 明るさ、色、傾きを、その場で見えていたものに近づける | 一枚ずつの見え方 | なし |
| 形にする | 手に取れる形にする。画面で見るデータか、紙か、冊子か。形は依頼先によって違う | どんな形で手元に来るか | 届き方を確かめておく |
右端の列は、ほとんど「なし」です。三つの工程は、どれも写真家の側で起きています。
三つのうち、外から見えにくいのは、選ぶことです。整えることや形にすることは、手を動かしている様子が想像できます。選ぶことは、ただ見ている時間に見えます。けれど、届いた写真の印象を決めているのは、この工程です。少し数字を使って見てみます。
結婚式の写真を「選ぶ」とは、何をしているのか
CHOOSING
かりに、届いた写真を一枚五秒で見ていくとします。はじめて見る人が、一枚ずつ目を留めながら進む速さです。全部を一度見通すのにかかる時間は、枚数でこう変わります。
| 枚数 | 一枚五秒で、全部を見通す時間 |
|---|---|
| 100枚 | 8分20秒 |
| 300枚 | 25分 |
| 500枚 | 41分40秒 |
| 1,000枚 | 1時間23分20秒 |
| 2,000枚 | 2時間46分40秒 |
| 3,000枚 | 4時間10分 |
枚数に五秒をかけただけの計算です。デジタルのカメラでは、一日で何千枚という枚数になることがあります。三千枚なら、見通すだけで四時間あまり。ご実家の居間で、ご両親と並んで見るのに、四時間は長い。
選ぶというのは、だから、見る人の時間のほうを守る仕事です。似た一枚が三枚並んでいたら、二枚は残る一枚のために、どきます。
もうひとつ、選ぶときに効いてくるものがあります。十五名の食卓には、二人の組み合わせが百五通りあります(数え方は結婚式の会食中の写真は、何を撮っておくべきかに)。似た二枚のうちどちらを残すかを決めるには、その場で何が起きていたかを知っている必要があります。誰が誰の隣に長く座っていたか。式の前後に土地を歩く時間にも、会食のあいだにも、夕日のそばにも、写真家がいます。その一日を見ていた人が選ぶかどうかで、残るものは変わってくるのだと思います。
写真が届くまでに、新郎新婦がしておくことはあるか
BEFORE IT ARRIVES
ほとんどありません。待っていればいい時間です。それでも、しておくと届いてからが変わることが、三つあります。
写真が届く前に、しておきたいこと
- 届き方を確かめておく——どんな形で、いつごろ、誰のところに届くのか。できれば一日より前、お打ち合わせのなかで
- 分けたい顔ぶれを考えておく——招いた方と、招かなかった方。それぞれに、どの一枚を
- 言葉にしておきたい一枚があれば、早いうちに——場面ではなく、人の名前で
ひとつめは、一日より前の話です。どんな形で届くのか、いつごろなのか、新郎新婦のところだけに届くのか。これは当日を迎える前に、結婚式当日までの、打ち合わせという時間のなかで確かめておかれるのがよいと思います。待っているあいだに形が分かっているほうが、待ち方が落ち着きます。
ふたつめは、待っているあいだにできることです。写真を見てもらいたい人の顔を、思い浮かべておく。招いた方だけとは限りません。招かなかった方に、会えたときに、一枚だけ見てもらう渡し方もあります(結婚式に「呼ばなかった」人への伝え方)。
みっつめは、当日や翌朝に気づいたことです。「祖母と三人で写ったものがあるだろうか」というように、あとから思い当たる一枚があります。届いてから探すより、選ばれる前に伝わっているほうが、見つかりやすいものです。伝え方は、場面ではなく人の名前で。会食の写真の記事に書いたのと同じ理由です。
写真が届くまでの時間は、何のための時間か
THE WAITING
福井から帰ってくると、聞かれます。「どうだった」。写真がまだないので、言葉で話すことになります。母が何と言ったか。祖父がどれくらい歩いたか。どの料理の話が長かったか(食卓のことは結婚式の会食を、北陸の食材で考えるということに)。写真が届くまでの時間というのは、一日を、言葉にしている時間です。
そして写真が届くと、話していたことが確かめられ、話していなかったものが出てきます。当日、新郎新婦は撮られる側にいます。自分たちと誰かが並んでいるところは、その日、自分たちの目には見えていません。届いてはじめて見る自分たちの一日、というものが、どの組にもあるのだと思います。
ですから、待っている時間は、空白ではありません。言葉のほうが先に進んでいて、写真があとから追いつく。待たされている、と考えるより、そのための間だと考えたほうが、たぶん近いと思います。
届いた結婚式の写真を、家族にどう分けるか
AFTER IT ARRIVES
届いたら、流れの最後の工程は、新郎新婦の手に戻ってきます。分けることです。
十名から十五名は、名前を呼べば全員がこちらを向く人数です。ということは、分ける先も、全部数えられるということです。一人ずつに、その人が写っているものを。何百通りもの組み合わせから、その人のための数枚を選び直す。ここだけは、写真家ではなく、その日いた本人にしかできません。
分けられた何枚かは、やがてご実家の棚に置かれていくのでしょう。私たちはコンセプトのページに、一日は、そうやって家族のものになっていきます、と書きました。会場を出てから写真が届くまでの時間は、その一行の手前にある時間です。
写真が届くまでの流れについて、もう少し詳しく
A CLOSER LOOK
一日が翌朝の十一時までどう続くのかはご相談から当日までの流れに、写真の舞台になる福井・日本海のほとりの二つの会場は会場のページに、写真が総額の目安のなかにはじめから含まれていることはプランと料金のページに、人数やご宿泊のことはよくあるご質問に短い答えがあります。届き方をいつ確かめるかも含めて、準備の時間の全体は結婚式当日までの、打ち合わせという時間をご覧ください。
結婚式の写真は、いつ、どんな形で届きますか?
日数と形は一組ずつ違うため、この記事では数字を置いていません。お打ち合わせのなかで確かめていただけます。流れとしては、撮ったすべての中から残すものを選び、一枚ずつ整え、手に取れる形にする、という三つの工程を経て届きます。
写真が届くまでのあいだに、新郎新婦がすることはありますか?
ほとんどありません。しておくとよいのは三つだけです。届き方(形・時期・誰のところに届くか)をお打ち合わせで確かめておくこと、写真を分けたい顔ぶれを考えておくこと、あとから思い当たった一枚があれば、場面ではなく人の名前で早めに伝えておくことです。
結婚式の写真が届くまでに時間がかかるのは、なぜですか?
撮ったすべての中から残すものを選び、一枚ずつ整え、形にする工程があるからです。かりに3,000枚を一枚5秒で見通すだけで4時間10分かかります。選ぶという工程は、見る人の時間を守るための時間でもあります。
届くまでも、一日のうち
一日が終わる。帰る。選ばれ、整えられ、形になる。届く。分ける。五つのうち、新郎新婦の手にあるのは両端のふたつだけで、あいだは言葉で一日を話している時間です。写真はそのあとから追いついてきて、話していたことを確かめ、話していなかったものを足します。
式の日の花が一輪でも手元にあれば、窓辺の小瓶に挿しておく。乾いていくのを眺めるくらいの、静かな時間だと思います。届き方のこと、分けたい顔ぶれのこと。写真の話は、一日より前からでも、お聞かせください。

